2009年10月05日

BB弾とその選別について その1

master氏並びにwanshooter氏のご要望で、今回から数度に渡ってBB弾と選別に付いて書く事となった。私事ではあるが、現在検証の為の射撃が出来ない状況であるので文章のみとさせて頂くが、何かの参考にして頂ければ幸いである。

今回の一連の記事は、私が今まで遊戯銃を用いての精密射撃を行ってきた中で得た物、即ち経験則に基づいた物で、体系立てた理論に基づいてそれを実証する検証を行った訳では無い。その為物理的な錯誤や別の見解が有るやも知れず、またご自身で検証なされた場合に、記事通りの結果を生まない可能性も否定出来ない事を予めご承知置き願いたい。


----------------------------------------------------------------------------------------------------

初回の今回は現在入手が比較的容易で私が使用した事のあるBB弾に付いて種類とその特徴と使用法に付いて書こうと思う。また、過去に使用し現在入手が難しいが良好な結果が得られた物に付いても紹介する。


1.マルゼン スーパーグランドマスターBB弾
 諸   元 
外径:5.97±0.01mm (5.96±0.01mm)
重量:0.29g
注:( )内は価格改定前
 概   要 
APSカップを主催するJASGの母体でありAPS競技用銃の老舗(有)マルゼンが販売している競技用高級BB弾。発売当初は素晴らしい外径精度と命中率を誇り、値段に見合う価値の有るBB弾であったが、現在販売されている物はその陰すら感じられない。
今年になって昨今の材料高騰の煽りと思われる価格改定が行われた際にスペック上の外径が0.01mm大きくなったが、研磨行程の簡略化によるコストダウンの意味も含まれるのではないかと疑われる。
ただ競技用高級BB弾の中では比較的入手が容易である。
 所   見 
外径について実際に計測してみるとスペックで謳われている精度には程遠く、弾の個体差も大きく高級ではあるが精密であるとは言い難い。
経年変化により外径が若干収縮するがその割合も弾に因って、又同じ弾の中でも場所に因って異なり、余計にバラツキ、歪みが大きくなる傾向がある。価格改定により精度等の改善を期待したが、残念ながらその期待は裏切られる結果となった。
他の競技用高級BB弾より入手性が良いので、値段程の価値が無い事を割り切って使う分には良いかもしれない。
 使用法 
外径の収縮は未開封状態でも避けられず、開封後などは言うまでもない。未開封状態で半年~1年程度、開封後の物では1~2ヶ月程度で外径の収縮は落ち着くが、その時には外径のバラツキ、歪みが大きく成っている。その為出来るだけロットの新しい物をその日消費する分のみボトルに移し使用する。
私は開封時に予め密封できる袋に100発程度に小分けし、使用する都度小袋を開封する様にしている。又余った弾は再び密封できる袋で保管し、出来るだけ早い時期に消費する様心掛けている。
購入量の目安は製造年月からの経過時間によるが概ね2週間~1ヶ月分。それ以上は無駄にする可能性が高くなる。


2.KSC グランドチャンピオン弾
 諸   元 
外径:5.96±0.01mm
重量:0.29g
 概   要 
(株)KSCがAPSカップ向けに競技用銃を発売した際に専用弾として発売された。スペック上では上記のマルゼン スーパーグランドマスターBB弾(価格改定前)と同じである。
弾の外見も非常に酷似しており、製造元が同じである可能性が有るが確認の手段が無いので確かな事は言えない。
 所   見 
発売初期のロットは素晴らしい外径精度であったが、ロットが進む毎に酷くなる一方で改善の様子が無い。経年変化により外径が若干収縮するのもスーパーグランドマスターBB弾と同様で、その傾向も同様である。
スーパーグランドマスターBB弾とは違い価格改定をしていないのは評価できるが、精度が価格に見合っていない。
 使用法 
経年変化がスーパーグランドマスターBB弾と同様なので使い方も同様になる。但し、スーパーグランドマスターBB弾と違い、製造年月日やロット番号を示す物が何もないので、購入は常に賭である。


3.蔵前工房舎 競技用特選BB弾
 諸   元 
外径:5.95±0.01mm
重量:0.28g
 概   要 
卸売業者である(有)桑田商会の小売部門である蔵前工房舎が販売している競技用高級BB弾。同社はカスタムライフルの老舗的存在で、カスタムパーツの製造販売やオリジナルカスタム銃の製作販売をしている。又APS公式練習会を主催するなどAPS競技の振興に力を注いでいる。
他の競技用高級BB弾と比べ1発当たりの単価が約半額でボトル付きなので割安感がある。最近詰替用(?)の1kg/2kg売りも販売されている様だ。
メーカーでは無いにも関わらず競技用BB弾を低価格で販売する同社は賞賛に値し、又BB弾の選択肢が増える事は喜ばしい事である。
入手性については小売店ではあまり見かけないが、同社の通信販売を利用すれば地方であっても入手は容易である。
 所   見 
外径精度は比較的良好でほぼスペックを満たすが、傷の有る弾が多く見られ、希にクラックの様な大きな傷の有る弾や明らかに外力によって変形した弾が混じっているので、目視による選別が必要である。
又、過去の記事でも書いたがホップの有無で性格の異なる弾の様で、ホップ付きの銃では良好な弾道を見せるが、ノンホップの銃では結構な頻度(10発に1~2発程度)でフライヤーが出る。この現象は外径による選別をしてもあまり改善は見られなかった。
経年変化に付いては発売後1年未満なので確かな事はいえないが、変化は少ない様ではある。今後の為にも定期的に変化を見ていきたいと思う。
 使用法 
所見でも書いたが、目視による傷弾の選別は必須。傷弾さえ除けば外径精度は比較的良好なので、ホップ付きの銃で使えば良いだけである。ノンホップの銃で使用する事はお勧めしない。


4.マルシン工業 MAXIBB 0.3g
 諸   元 
外径:5.96±0.01mm
重量:0.3g
 概   要 
JASG組合員企業ではないマルシン工業(株)が販売している6mmセミバイオBB弾。同シリーズには0.3gの他、0.25g、0.2gの全三種のラインナップがあり、値段は同じであるが弾の個数が異なっている。
取扱う小売店も多く、入手が容易なBB弾の中では最重量である。又、1発当たりの単価も競技用BB弾より安い。
 所   見 
発売当初のロットは素晴らしい弾道を見せたが、他のBB弾と同様にロットが進む毎に酷くなる一方であった。一時品切れ状態が続いた後の再販ロットは若干の改善を見せたが、今一つである。経年変化に付いては定期的な計測をしていないので確かな事は言えないが、セミバイオ弾という事もあり徐々に分解が進んで行くと思われるが、何年も掛かって消費するのでなければ問題は無いであろう。
 使用法 
競技に使用するには不満な部分が多いが練習で使用する分には十分な性能を持つので主に練習に用いる。
特に取り扱い上注意する事は無いので気楽に使える。分解の遅いセミバイオ弾であるとは言え、時間の経過でどの様に変化して行くか判らないので早めの消費を心掛けた方が良いかも知れない。


5.マルシン工業 MAXIBB 0.25g
 諸   元 
外径:5.96±0.01mm
重量:0.25g
 概   要 
前述のMAXIBB 0.3gと同じマルシン工業(株)が販売しているセミバイオBB弾。ラインナップの中では中量級で1発当たりの単価も高級BB弾の1/6程度と圧倒的に安い。
競技用BB弾に比べると若干軽いので遠距離での命中率に不安が有るが、10m以内で競われるAPS競技では余り関係が無いと思われる。
 所   見 
外径精度は特段に良いと言う訳では無いが、値段の割に健闘していると言える。弾道は比較的良好で、場合に因っては競技用高級BB弾を凌駕する事もある。
経年変化は気にする程は無いが、セミバイオBB弾である為早めに使い切る様に心掛けていれば問題は無いと思われる。
懸念した遠距離の射撃に於いても良好な弾道を得られ、練習にも競技にも使用できる優秀なBB弾と言える。
 使用法 
前述のMAXIBB 0.3gと同様、特に注意する事は無いが、セミバイオBB弾なので早めに使い切る様心掛ける。只一袋の量が多いので、半量程度ずつボトルに移し使用した方が良いであろう。


6.東京マルイ スペリオルグレードBB弾
 諸   元 
外径:5.95±0.01mm
重量:0.3g
 概   要 
JASG組合員企業ではない(株)東京マルイが販売していた精密BB弾。桁違いの高精度を誇り非常に優秀なBB弾であったが、発売後間もなくに有った銃刀法改正の煽りで販売終了と成った幻のBB弾である。現在市場在庫も既に無く入手は非常に困難であるが、希にオークション等にてプレミア価格で取引されている。
 所   見 
精度は非常に高いが、外径が若干小さめでである。その事を差し引いても価格に見合った高精度BB弾であった。経年変化により外径が若干大きくなる傾向あるが、元々外径が小さめであるので、開封後ある程度時間の経過した物の方が弾道が良好である。
 使用法 
開封後暫く(1~2ヶ月)外気に触れさせておく(ボトルに移した状態で十分)と良好な結果を得られる。
又パッキン等が馴染むのに少々時間が掛かるので十分な馴らしが必要である。その間他のBB弾を使用すると弾道が不安定になる事があるので、このBB弾を使用する期間中他のBB弾を撃たない様にする。



次回はBB弾の選別に付いて書く予定でいる。選別に因って結果がどの様に成るのか実射を含めた検証結果を記事にしたい所だが、前述の通り現在射撃が出来ない状況であるので文章のみの予定。撃てない事に因るモチベーションの低下で文章を書くペースも落ちているが、なるべくお待たせしない様心掛けるつもりなので暫くお待ち願いたい。


タグ :APSBB弾選別

同じカテゴリー(データ)の記事画像
第19回APSカップ東京本大会の準備その6
第19回APSカップ東京本大会の準備その5
第19回APSカップ東京本大会の準備その4
第19回APSカップ東京本大会の準備その3
第19回APSカップ東京本大会の準備その2
第19回APSカップ東京本大会の準備その1
同じカテゴリー(データ)の記事
 BB弾とその選別について その3 (2009-10-20 09:28)
 BB弾とその選別について その2 (2009-10-14 08:54)
 第19回APSカップ東京本大会の準備その6 (2009-07-25 21:43)
 第19回APSカップ東京本大会の準備その5 (2009-07-24 21:42)
 第19回APSカップ東京本大会の準備その4 (2009-07-23 21:41)
 第19回APSカップ東京本大会の準備その3 (2009-07-22 21:40)

Posted by Mr.Seven at 12:36│Comments(2)データ
この記事へのコメント
傷弾が気になったので老眼の進んだ目で見てみました。
元々は近視なのでメガネを外すとすごく近くが見えるので便利なのかもしれません(笑)
いやぁ凄いですねぇ、こんなに近くで見たことがなかったのでびっくりしてますが艶があるからキレイな表面とは限らないのですね。
顕微鏡写真でも撮ったら凸凹な表面に驚くと思いますが選別器を通った弾にパーティングラインがあったのには愕然としました。
確かに穴より小さければ通りますからねぇ。
Posted by wanshooter at 2009年10月16日 09:17
wanshooterさんも見てみましたか。
私は頭に付けるヘッドバンドみたいな虫眼鏡使ってます。^^;
結構傷弾多いんですよね。でも、それを除いてやるとホップ銃では結構良いですよ。ノンホップでは今ひとつです。ハンドガンはみんなノンホップなのでライフルの方で使うしかありませんがね。

>選別器を通った弾にパーティングライン
そんな事もあるんですよね。>穴式選別器
だからあまり当てにならないんですよねw
Posted by Mr.Seven at 2009年10月16日 21:02
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。